「セカオワはメジャーデビュー年の秋に行った初の武道館ワンマン公演あたりで、その路線を捨てています。自分たちのやっていることはリアリティショーじゃ なくて、ファンタジーのショーなんだ、という大きな方針転換を行い、その路線は今に続いている。世界観を作り込んで、自分たちも半分その虚構の世界の住人 としてキャラクター化していった。だから、実はサウンド的にはそんなに変わっていないのに、それによって表現されるものが対極的になっているんです。彼ら が出てきた2010~11年頃以降というのは、AKB48やももいろクローバーZのようにアイドルがリアリティショー化して音楽シーンを覆っていった時期 でもあった。そういう中で、本来リアリティを追求するロックバンドだったセカオワが真逆の方向に行って、それが人気の起爆剤になったというのは、この数年 の音楽シーンを象徴する出来事だと思います」(前出・柴氏)
確かに、セカオワをロックバンドだと捉えていると「甘っちょろい」と気持ち悪さを覚えるが、例えばヴィジュアル系やSOUND HORIZONのような虚構的世界観ありきのバンドなのだと思えば、特に違和感はない。そもそもセカオワは編成自体、ロックバンドにはおよそ欠くことがで きないだろうドラムもベースもいない。最近では、Fukaseが音楽サイトのインタビューで「他のバンドを見てると、『今時、まだギター使ってんの?』と か思うし、『まだギター・ロックやってるんだ?』って思う」と発言し、「ロックバンドを馬鹿にしすぎ」と炎上していたが、そうした発言も、自分たちをロッ クバンドとは思っていない証左だろう。
だが、そういう本人たちにしてみればお門違いと思われようが、4人組で楽器を手に持ち自分たちで作詞作曲をし、かつ「ロッキング・オン・ジャパン」(ロッ キング・オン)や「音楽と人」(音楽と人)、「MUSICA」(ムジカ)といった音楽誌の表紙を飾っていれば、それはもうロックバンドにしか見えないのだ (さらに難癖めいたことをいえば、ゴリゴリのロックバンドであるTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのデビュー曲「世界の終わり」と同じ名前であることも誤解を呼び寄せているのではないか)。 そうした捉え方のズレこそが、実際に彼らを支持する年齢層よりも上の年代、言ってしまえば「オジサン」たちに彼らを"過剰評価"な"厨二病"ミュージシャ ンだと思わせているのだろう。
では果たして彼らは本当に"過剰評価"な"厨二病"ミュージシャンなのか? 以降のページでは、楽曲&MVレビューや精神分析、ファン分析を通して、その真贋を見極めていきたい。タオバオ代行送料